『世界の果てで待っていて』シリーズ1冊目の『天使の傷痕-新装版-』と、新作『嘘とナイフ』が同時に発売になりました。いまの気持をお聞かせください。 |
待ってくれていた方にようやく読んでもらえて嬉しいです。と同時に、出ちゃったからには続きを書かなくてはならなくなったので戦々恐々です。 |
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本シリーズでは、元刑事でいまは探偵の黒澤と現刑事である櫂谷が主人公であり、事件が物語の核となっています。事件ものの作品を執筆されることになったきっかけを教えていただけますか? |
事件ものというか、初めて大洋図書さんからご依頼をいただいた時に「書きたいものはありますか?」と訊かれ、「探偵の出てくる話とか」と答えた記憶があります。具体的な内容が頭にあったわけではないのですが、「探偵さん」という言葉が好きなので。事件は探偵にくっついてきた感じです。 |
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『天使の傷痕』では双子の兄弟(奏と律)が、『嘘とナイフ』では姉(以知子)と弟(双葉)が事件の中心にいます。また、本作品では兄である黒澤は妹である澪子の事件の真相を探っています。高遠先生の作品にとって兄弟(姉妹)はどんな意味を持っているのですか? |
そういえばそうですね…! 無意識でした。いや、『嘘とナイフ』の中心は双葉と智で、友情についてかなと思っていたので。ただ私にも兄がいるんですが、年が近くドライな関係なので、年の離れたきょうだいに憧れがあるかもしれません。年齢が離れていると、保護者と被保護者的な関係になったり、最初に意識する異性だったりするのかなと思うので。 |
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タイトルがとても印象的です。『世界の果てで待っていて』、そしてサブタイトルの『天使の傷痕』、『嘘とナイフ』。タイトルはどうやって決めていますか? |
話全体のイメージとタイトルが同時にできることが多いです。タイトルが先に浮かんで、それに合う話を考えることもあります。逆に、書いた話に後からタイトルをつけるのがすごく苦手です。『嘘とナイフ』は最初ぼんやりと違うタイトルを考えていたのですが、背表紙に入りませんでした…。主タイトルが長すぎる。 |
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本シリーズでは事件がベースにあります。事件によって作品の雰囲気も変わってくるのではないかと思います。どういう意図で事件を決めたのか、教えていただけますか? |
天使の傷痕:意図……意図は特にないですが、子供が出てきて「探偵さん」って呼んでくれるといいかなー、とか。
嘘とナイフ:渋谷らしく、若者を事件の中心にしてみました。 |
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実際の事件を参考にすることはありますか? |
ないつもりですが、毎日ニュースで事件を見聞きして、蓄積しているものは影響するだろうなと思います。 |
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舞台は渋谷です。渋谷といえば若者の街ですが、あえて渋谷を選んだ理由を教えていただけますか? |
長く三軒茶屋に住んでいて馴染みの深かった街だからというのが一番ですが、新宿とも銀座とも違う、行きあたりばったりで常に変化していて、成熟と未成熟が同居している感じがおもしろいなと思います。あと、渋谷川の暗渠の写真を見たことがあるんですが、それも影響しています。 |
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高遠先生がお気に入りの登場人物を教えていただけますか? |
黒澤かな…。煙草はセブンスター。車はレガシィ。時計はグランドセイコー。ついでに父親は国文学者。希少な国産の男です。ちなみにグランドセイコーのブランドコンセプトは「最高の普通」というんですが、それこそまさに私が思う最高のいい男かも。
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作品を拝読しているとそのシーンの情景、季節、情緒が鮮やかに伝わってきます。高遠先生が作品を生みだすとき、最初に作るもの、イメージされることは何でしょうか? |
ひとつかふたつのシーンが最初に出てきて、徐々にシーンが増えて映画の予告編みたいになります。書きながらその間を埋める感じです。 |
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作品を執筆する際に欠かさないこと、ジンクスのようなものがありましたら教えてください。 |
欠かさないことというのはないですが、チョコがないと悲しくなります。 |
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読者のみなさまはきっと、黒澤と櫂谷の恋愛関係が気になっているかと。次回作では進展はあるのでしょうか? ぜひ教えてください! |
意外に櫂谷ががんばってくれるんじゃないかなーと思います。 |
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最後に読者のみなさまにメッセージをお願いいたします! |
お待たせしました!(待ってないなんて言わないで)
ちょうど今年は記録的な猛暑だったので、今年の夏を思い出しながら読んでもらえると嬉しいです。 |
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