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作品紹介
 
高遠 琉加
茶屋町 勝呂

元刑事の黒澤統一郎は、渋谷区神泉に黒澤調査探偵事務所を構えている。そこにはいろんな人生を抱えた人が訪れる。ある雨の日、少女と見紛う少年・奏がやってきた。三年前に行方不明になってしまった双子の兄・律を探してくれ、と。一度は依頼を断った黒澤だが、かつての同僚で現役刑事である櫂谷雪人もある事件の関係で律を探しており、ふたりは協力することになる。静と動。理性と本能。好対照な雪人と統一郎の関係は、統一郎が刑事をやめてからも続いていた。甘い一夜の記憶を忘れたふりをして。複雑に絡み合う過去と現在。彼らの未来は――!?


初めの方の事務所のシーンで、櫂谷が灰皿の煙草の灰を吹き上げて言うセリフが気に入っています。 一番最初に浮かんだシーンなので。

高遠 琉加
茶屋町 勝呂

渋谷区神泉に調査探偵事務所を構える黒澤統一郎は、暑い夏の夜、元同僚で渋谷警察署の刑事である櫂谷雪人から呼び出される。補導された少年が、おまえの名刺を持っている、と。それが新たな事件の始まりだった――! 妹・澪子の死の真相を独り探り続ける黒澤。雪人は自分の知らない影を統一郎のなかに見つけ、激しく動揺する。自分はあの男の何を知っていて、何を知らないのか―― そんなとき、雪人は公安の鴉と呼ばれていた鷹取から統一郎の行確を命じられて…… 甘い一夜の記憶を封じたふたりの想い、そして見失った真実の行方は!?


櫂谷が黒澤を殴るところ。あれ、実は櫂谷の方がお気に入りなのかもしれない…

著者インタビュー
 

『世界の果てで待っていて』シリーズ1冊目の『天使の傷痕-新装版-』と、新作『嘘とナイフ』が同時に発売になりました。いまの気持をお聞かせください。

待ってくれていた方にようやく読んでもらえて嬉しいです。と同時に、出ちゃったからには続きを書かなくてはならなくなったので戦々恐々です。

本シリーズでは、元刑事でいまは探偵の黒澤と現刑事である櫂谷が主人公であり、事件が物語の核となっています。事件ものの作品を執筆されることになったきっかけを教えていただけますか?

事件ものというか、初めて大洋図書さんからご依頼をいただいた時に「書きたいものはありますか?」と訊かれ、「探偵の出てくる話とか」と答えた記憶があります。具体的な内容が頭にあったわけではないのですが、「探偵さん」という言葉が好きなので。事件は探偵にくっついてきた感じです。

『天使の傷痕』では双子の兄弟(奏と律)が、『嘘とナイフ』では姉(以知子)と弟(双葉)が事件の中心にいます。また、本作品では兄である黒澤は妹である澪子の事件の真相を探っています。高遠先生の作品にとって兄弟(姉妹)はどんな意味を持っているのですか?

そういえばそうですね…! 無意識でした。いや、『嘘とナイフ』の中心は双葉と智で、友情についてかなと思っていたので。ただ私にも兄がいるんですが、年が近くドライな関係なので、年の離れたきょうだいに憧れがあるかもしれません。年齢が離れていると、保護者と被保護者的な関係になったり、最初に意識する異性だったりするのかなと思うので。

タイトルがとても印象的です。『世界の果てで待っていて』、そしてサブタイトルの『天使の傷痕』、『嘘とナイフ』。タイトルはどうやって決めていますか?

話全体のイメージとタイトルが同時にできることが多いです。タイトルが先に浮かんで、それに合う話を考えることもあります。逆に、書いた話に後からタイトルをつけるのがすごく苦手です。『嘘とナイフ』は最初ぼんやりと違うタイトルを考えていたのですが、背表紙に入りませんでした…。主タイトルが長すぎる。

本シリーズでは事件がベースにあります。事件によって作品の雰囲気も変わってくるのではないかと思います。どういう意図で事件を決めたのか、教えていただけますか?

天使の傷痕:意図……意図は特にないですが、子供が出てきて「探偵さん」って呼んでくれるといいかなー、とか。
嘘とナイフ:渋谷らしく、若者を事件の中心にしてみました。

実際の事件を参考にすることはありますか?

ないつもりですが、毎日ニュースで事件を見聞きして、蓄積しているものは影響するだろうなと思います。

舞台は渋谷です。渋谷といえば若者の街ですが、あえて渋谷を選んだ理由を教えていただけますか?

長く三軒茶屋に住んでいて馴染みの深かった街だからというのが一番ですが、新宿とも銀座とも違う、行きあたりばったりで常に変化していて、成熟と未成熟が同居している感じがおもしろいなと思います。あと、渋谷川の暗渠の写真を見たことがあるんですが、それも影響しています。

高遠先生がお気に入りの登場人物を教えていただけますか?

黒澤かな…。煙草はセブンスター。車はレガシィ。時計はグランドセイコー。ついでに父親は国文学者。希少な国産の男です。ちなみにグランドセイコーのブランドコンセプトは「最高の普通」というんですが、それこそまさに私が思う最高のいい男かも。

作品を拝読しているとそのシーンの情景、季節、情緒が鮮やかに伝わってきます。高遠先生が作品を生みだすとき、最初に作るもの、イメージされることは何でしょうか?

ひとつかふたつのシーンが最初に出てきて、徐々にシーンが増えて映画の予告編みたいになります。書きながらその間を埋める感じです。

作品を執筆する際に欠かさないこと、ジンクスのようなものがありましたら教えてください。

欠かさないことというのはないですが、チョコがないと悲しくなります。

読者のみなさまはきっと、黒澤と櫂谷の恋愛関係が気になっているかと。次回作では進展はあるのでしょうか? ぜひ教えてください!

意外に櫂谷ががんばってくれるんじゃないかなーと思います。

最後に読者のみなさまにメッセージをお願いいたします!

お待たせしました!(待ってないなんて言わないで)
ちょうど今年は記録的な猛暑だったので、今年の夏を思い出しながら読んでもらえると嬉しいです。

人物
 
渋谷区神泉に黒澤調査探偵事務所を開いている探偵。
元刑事。
二年前に妹の澪子(当時19歳)を何者かに殺される。
その際に犯人と揉み合って左目を負傷し、
後遺症で左目の視力がかなり悪い。
父親(国文学者)は黒澤が大学生の時に病死。
母親は離婚後、家を出ている。
煙草はセブンスター、車は新車からほど遠い黒のレガシィ。
大学中退後、警察学校に入学。
警視庁渋谷警察署刑事課強行犯係の刑事。階級は巡査部長。
黒澤の元同僚。大卒。射撃が得意。
仕事のやり方は慎重かつ緻密で、
根気強く捜査をするタイプ。
駅東口にある渋谷警察署の上層階の独身寮で暮らしている。
19歳で死亡。
短大生(死亡時)
二年前の五月の夜、何者かに殺される。
捜査陣の見解 → 帰宅時に空き巣に出くわし、
おそらく突き飛ばされて頭部を強打したのが死因。
当時、都内では女性が一人でいる家を狙った空き巣が頻発していた。
玉川署に捜査本部が設置され、雪人も志願して加わった。
事件より三週間後、
25歳の男を主犯とした若い男のグループが捕まるが、
唯一、被害者が死亡に至った澪子の事件だけは無罪を主張している。
現在、公判中。
昼間は派遣OL、夜は円山芸者。
黒澤の元依頼人。
弟、双葉と二人暮らし。
父親は登山中に事故死。
母親は郷里で小料理屋を営む。
猫のような目をした人目を惹く美人。
17歳
高校二年生。
姉、以知子と二人暮らし。喧嘩が強い。
父親の形見のナイフをお守りに持ち歩いている。
警視庁刑事部捜査第一課第八係係長。階級は警部。
元公安部所属。
陰では“元公安の鴉”、“公安上がりの捜一係長”と呼ばれている。
左手の小指がない。
澪子が殺害された事件では黒澤の聴取を担当した。
見た目は20代半ばにしか見えないが、実年齢は不詳。
フリーカメラマン兼フリーライター。
バイク乗りでフットワークが軽い。
黒澤とは警察時代からのつきあい。
雪人は以前、スクープを抜かれて捜査に支障をきたしたことがあるため、城を嫌っている。
13歳
中学一年生。
双子の弟。
行方不明中の双子の兄、律を捜している。
明るく天真爛漫な性格。
母親は著名な声楽家。父親は実業家。
13歳
中学一年生。
双子の兄。
三年前(10歳)の夏、行方がわからなくなる。
幼少時、ハイキングに行って崖から落ちた時、
背中の肩甲骨のあたりに羽をもぎとったような傷痕ができた。
真面目で優しい性格。
29歳。
画家。絵を描く時はショウコという名前を使っている。
草食動物のような優しい雰囲気を持つ青年。
妻は娘の出産時に死亡、娘は生まれて五日で死亡した。
17歳。
高校二年生。
園芸部に入っている。
病院を経営する家に生まれ、医者を目指している。
気が弱く、いじめられやすい性格。
警視庁渋谷警察署刑事課強行犯係の刑事。
櫂谷の後輩で、現在、櫂谷とコンビを組んでいる。
警視庁渋谷警察署刑事課強行犯係のベテラン刑事。
黒澤が新人刑事だった頃の指導係。
強面だが、性格は気さくで大らか、涙もろい。

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