作品紹介
「飯田に一目惚れして以来、俺は飯田しか見ていない」
ボルダリングジムで出会った牧義彦は、休憩中にいつも飯田をそう口説いてくる。最初はうざいと思っていたはずなのに、いつしか牧に会うのが楽しみになっていることに気づく。触れられて動揺する、そのくせ触ってほしいと思う自分を羞恥する。意識したとたん、すべてが熱に変わっていく……
恋に不慣れな男たちの恋物語
初めて、飯田が牧から電話を受けるシーン。この辺りから飯田の気持ちが変わってきます。
 
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Q 5月31日にSHY NOVELS『シガレット』が発売になりますね。おめでとうございます！　４月のデビュー作『チョコレート』のご発売から、あとは『シガレット』発売を待つまでとなり一段落かと思いますが、今のお気持ちを教えてください。
  A ひと段落ついて落ち着いてもいいはずですが、実際はいっぱいいっぱいです。今、洒落や冗談ではなく胃が痛んでいます。
Q 前作の『チョコレート』に続き、タイトルはシンプルに『シガレット』です。最初からタイトルのイメージはあったのでしょうか？
  A 『チョコレート』がシンプルだったので、今回もシンプルなのがいいなあ、と思っていました。スピンオフなのである程度共通要素も欲しかったのですが、『シガレット』なら韻も踏めるので決定しました。
Q 『チョコレート』にも出ていた飯田が今回は主役の作品になります。飯田の恋のお相手は『チョコレート』の最後にある「a couple of weeks later」に出てきたマキですが、このふたりについて一言ずつご紹介をお願いします。
  A 飯田……普段は明るく振舞っているが、内面はかなり後ろ向き。酒好き。
牧………面倒見がよく明るい、私立学校の教師。ただし下品。
Q 『チョコレート』『シガレット』と、それぞれタイプの異なるキャラクターが出てきましたが、純、佐倉、飯田、牧のなかで羽生先生が一番書きやすかったのは誰でしょうか？
  A 全員苦労しました……が、みんな可愛い我が子です。
Q 前作でしっかり者な印象の飯田でしたが、実はコンプレックスをたくさん抱えていました。飯田のなかで出口もなく渦巻いていく感情の描写がとてもリアルに感じました。飯田のネガティブな一面を表現する際、気をつけたことなどありましたら教えてください。
  A 飯田のコンプレックス自体はよくあるもので、要約すれば二十文字くらいに収まってしまうものですが、本人にとってはかなり大きな問題なのです。コンプレックスもさることながら、それを消化できない自己嫌悪などいろいろとネガティブな感情を掘りさげて、できるだけわかりやすく書くように心がけました。
Q 牧の存在は、とても新鮮でした。飄々としていながら、教師として熱い部分も持っていて、そのギャップに惹かれる読者さまも多いはず！　牧というキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか？
  A 前作の佐倉が無口だったので、正反対タイプをと思って書いたらああなりました。あまりにも露骨で封印した台詞もいくつかあります。人づきあいが上手い牧の背景を考えた時、自然と大家族になったのですが、飯田が長子なのであえて牧は末っ子に、堅物の飯田家父に対して牧家は一風変わった家族となりました。
Q 『シガレット』の終盤で佐倉と牧が顔を合わせたシーンに、にやりとしてしまいました。小説はここで終わってしまいますが、これからの四人の未来図などぼんやり考えていることがありましたらぜひ教えてください。
  A 四人はたまに集まったりして仲良くしていきます。でも、攻の二人は顔を合わせるたびにキャットファイトを繰り返す気がします。そんな牧と佐倉を、受の二人は「またやってるよ、しょうがないなあ」なんてふうに呆れ、時にとばっちりを受けて怒ります。
Q 今回も書き下ろしショートストーリー『台所情事』をありがとうございます！　キッチンでの夢が叶った牧ですが、他にはどんな場所を企んでいるのでしょうか？ また、羽生先生の萌えスポットはありますか？
  A 寝室で、あえてベッドの脇（笑）。あと、牧は布地面積の小さな下着を飯田に贈ることでしょう。目隠しとかも企てます。ちなみに私は……男二人いれば場所は関係ありません。でもトイレは嫌です。
Q 気が早い質問かもしれませんが、次回作の構想についてよければ教えてください。
  A ざっくり言うと襲い（誘い？）受です。
Q 『シガレット』の中で、読者のみなさまにぜひ注目していただきたいポイントを教えてください。
  A 牧と飯田の会話です。前作と違ってよく喋る攻なので。
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