著者インタビュー

毎日寒い日が続いていますが、如何お過ごしですか?
この度、たけうちりうと先生の新しい小説『キスと手錠』が発売になりました。今回は、のんびりでお人好しな教師・和貴と町工場の跡取りで、鉄に詳しい職人・漣の出逢いから恋までが描かれています。物語のスタートは誘拐だったり…たけうち先生のテイストが生き生きしている作品です!
まだ読んでいなという方、気になる…という方、ぜひ、読んでみてくださいね。北畠先生のイラストも必見ですよ~。
その前に…たけうち先生のインタビューです。お楽しみください!

Q.冬本番の寒さになってきました。まずたけうち先生の近況から教えて下さい!

すっかり出不精です。犬を訓練所の預託に出しまして、これが四ヶ月。おかげで散歩も行かない。性に合わない引きこもり的生活が半年ほど続いてます。そうそう、このところ金田一晴彦先生の日本語本を愛読してます。金田一先生の監修された古語辞典を見つけたので、衝動買いをしたりして。金田一先生のお父上のエピソードが読めるのも嬉しい。あとはひたすら物書きやってます。本を買っては本棚へ。DVDを買い込んでは未鑑賞のまま。かろうじてCDは聴くけれど。何か楽しいことないかねえ、子猫ちゃん。

Q.今回のお話『キスと手錠』では主人公の誘拐シーンから物語は始まりました。このお話を書くと決められたとき、特に意識した点はなんでしょう?
特に意識したこともないが…あえて言えば変な人を書きたい。ということでしょうかね(いつものことで)。

Q.今回、すこし特殊な役割の登場人物たちが多数でてきます。一般的には泥棒? と言えなくもないような。たけうち先生の作品には泥棒やテロリストという特殊な職業が目立ちますが、思い入れがあったりするのでしょうか?
テロリストって職業かい(笑)。それはさておき。あちこちで書きましたが、職人が好きなんですね。だから職人気質の泥棒や、職人ワザの盗難技術などを書きたいわけです。今回は漣、トドが職人です。漣の役作りを考えて、町工場の本をゲップが出るほど読みました。半年ほど前に、恋愛映画のDVDをたくさん観たことがありまして、比較してみると、『都会暮らし・ド金持ち・絵に描いたようなハンサム・恋はスマート』なキャラクターより、『田舎者・かろうじて自活・味わいのあるやつ・恋は不器用』な人のほうがやっぱり好きだなと。つくづく思った次第です。

Q.登場人物についてコメントをお願いします。
【由比和貴】
日本全国の適応指導教室の先生、すみません。こんなコトやらあんなコト、いけないことまで、いっぱいやらせてしまいました。
【跡部漣】
職人学(小関智弘著)という本に『機械にニンベン』という素敵な言葉が出てきます。それをこころがけました。ちゃんとニンベンついたかな、漣。
【不破悠里】
しとやかなようでいてじつはお転婆。もっと酷い目に遭わせて虐めたり泣かせたりしたかったが…脇役ですので割愛。
【バド・ウェスト】
お馬鹿なんだか大人物なんだか。もっと危ない目に遭わせたかったが、脇役ですので割愛。

Q.お気に入りの人物は……?
トドさんこと東堂。じつは惚れると熱い。もっとふくらませてやりたかったが、これも脇役なので割愛。

Q.今回の手首に巻かれていた手錠や宝石にモデルはあるのでしょうか?
 あれこれ調べて、あとは想像です。手錠自体はメカなので、作るのは簡単で、今回の主眼はバイオメトリクス。この分野は面白い開発は研究が目白押しで、どれを見ても『小説で使いたいな~』ですねえ。認証システム開発の主目的はセキュリティ。機械がどれだけ人間を識別できるか、人間は対象をどの程度把握しうるのかの差、つまり認識と意識の差ですけれども、双方の対比だけ考えても非常に面白い分野だと思います。
 宝石関係、作者不案内のため勉強至らずウンチクは避けたい。モデルは南米です。『ナイルの涙』の推定価格はぎりぎりまで決まりませんでした。単なる炭素の固まりにこの値段ってなんなのよーと吠えつつ。

Q.主人公でる和貴が誘拐されるきっかけになった原因である宝石『ナイルの涙』にはロマンがたっぷりつまっていますよね。古代、遺跡というと、どんなことを連想されますか?
黄金と宝石。鉱物またはその抽出物である金属や宝石類に、古代の人々が特別な付加価値を与えたのは何故か。それと墳墓。古代の人々が『死』と『生』をどうとらえていたのか、あれこれ想像してみたり。遺跡って謎だらけで好きです。

Q.普段は普通の街で普通を装って暮らしている人のなかに不破やバドのような人が生活していると思うと、なんだかドキドキします。たけうち先生が日常でドキドキしてしまうのはどんな時ですか?
シュラバにかかってくる電話。あ、ときめき方面のドキドキですか。ミュージカルのフルモンティ、ストリップショーのラストを観たときでしょうか。興奮して思わず吠えましたですね、ハイ。

Q.執筆中楽しかった、あるいはどうしても書きたかったシーンを教えて下さい。
バスタイム(嘘)。車側を橋柱にこすりつけ火花を散らして走るトレーラー。

Q.製作秘話を教えて下さい!
市内外の橋を見に行き、あちこち渡ってみました。ストップウオッチ持って、歩いて渡って時間を計り、次に走って渡って計り、一分間に走る車の数を数え、一般車と作業者と搬送車の比率を割り出し、というようなところですねえ。あまり役にたちませんでしたが。

Q.読者の皆様にメッセージをお願いします。
ドタバタとしっとり、一粒で二度美味しい(ホントか?)楽しんでいただければ幸いです。

 








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Q.最後にこっそり。バドは本当に危ない仕事をやめることができたのでしょうか? あのふたりの出逢いや今後も気になるのですが…。
このふたりだったら、こんな危ないことやあんな色っぽいこと、あれこれネタがふれるかもと、編集さんに説明した覚えがある。ような気がする。書かずじまいになってしまいましたが、またどこかで書けたら書きましょう。