2015年12月07日
「花霞の夜は明ける」 高那シキ/著 ロッキー/絵
冬の気配残る、春の初め。夜の公園。篠宮景は、まだ花びらも纏っていない桜の木をただ静かに眺める同じ営業部の後輩・柏木秋斗を見かけた。会社では、周りと馴染まず笑った顔なんて見たことがないのに、こちらを振り向いた柏木は別人のように穏やかに微笑んでいた。──あなたと話せる日がくるなんて、思っていなかった。この日から、同じだけど違うふたりの柏木に翻弄される篠宮。興味が好意になりお互いを意識するなか、二十年前に起こったある事件の秘密が明かされて……